制限金利のことを知らない場合の消費者金融への制限金利を超える利息の支払いについて
この場合は、制限金利のことを知っていても知らなくても、制限金利を超える支払いをした分についてはそれを元本に充当できますし、また元本を完済されているのでしたら、返還を請求することができます。
判例について
判例上も、利息制限法の制限利息を超える部分というのは民事上無効であり、それを支払ってしまった場合には元本に充当または返還請求が認められるというものが確立されています。
任意で支払った場合の「みなし弁済」について
「みなし弁済」とは消費者金融などの貸金業者に認められた規定ですが、これに該当してしまうとたとえ超過部分であっても返還してもらうことができません。
ただし、この「みなし弁済」とされるには次のすべての要件を満たす必要があります。
また、利息が出資法の刑罰適用金利を超える場合には、みなし弁済の規定は適用されません。
■登録を受けた貸金業者が業として行う金銭消費貸借契約の利息契約に基づく支払いであること。
■債務者が利息として支払ったこと。
・ これは、利息と元本があいまいな場合には、利息として支払ったとはいえないとされています。
■任意に支払ったこと。
・これは、強制的に支払わされたり、脅かされたり、夜間の取立て行為など悪質な取立て手段による場合には、「任意」とはみなされません。
・最高裁では、任意の支払いとは、「債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払いに充当されることを認識した上、自己の自由な意思によって支払ったことをいい、債務者においてその支払った金銭の額が利息制限法の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しない」としています(最判平成2.1.22民集44-1-332)。
■現実に金銭を支払ったこと。
■契約時に所定の契約書面を交付していること。
・最高裁では、17条書面の一部が欠けていた場合には、みなし弁済の適用を否定しています(最判平成16.2.20民集58-2-475)。
■利息の支払時に所定の受取証書を交付していること
・貸金業規制法では、弁済の都度、直ちに交付しなければならないとされていますので、これも厳格になされている必要があります。
・最高裁では、弁済した日の7〜8日後に受取証書が交付された事案では、これを認めませんでした(最判平成16.7.9判例時報1870-12)。
よって、任意に支払ったかどうかが問題となるところですが、利息制限法違反の利息の支払いだったことを知らなかったというだけでは、支払ってしまった利息の元本への充当や返還を請求することはできないことになります。
しかしながら、「みなし弁済」というのは、貸金業規制法で利息が出資法の制限利息を超えている場合には適用されないことになっていますので、制限利息を超えた部分の利息を支払った場合には、返還を求めることができることになります。 |